オルラン・ヂーヴォ/A CHAVE DO SUCESSO


このアルバムと出会ったのは、VIVID SOUNDから日本盤がリリースされた時なので、
2002年の事だったでしょうか。


その日本盤のライナーによると、90年代初期のロンドンのクラブ・シーンにおけるブラジル・ブームの折、
こぞってDJ達が探し求めていた、マボロシのアーティストとして、結構有名な存在ではあったらしいのですが、クラブ・カルチャー、増してDJなんて!という、ごく一般のブラジル音楽ファンとしては、
「オルラン・ヂーヴォ」なんて、全く初めて聴く名前でした。


さて、2002年当時といえば、カフェ・ミュージックブームの火付け役として、「カフェ・アプレミディ」がリリースされてすでに2年も経過してしており、
ボサノヴァ、MPBといったブラジル音楽を主体とした「カフェ系コンピ」のCDがこれでもかと言わんばかりにリリースされ、
街で一休みしようものなら、ポルトガル語の歌が聴こえてこない場所はない!という状況で、
サスガにチョット食傷気味かなぁ、なんていう空気すら漂っていた時期だったように思います。


そんな折、タワレコ(だったと思います)の試聴機にあったこのアルバムを、大して期待もせずにプレイしたところ、イントロのフルートの音色とオルガン・サウンドですぐに彼の虜になってしまいました(笑)


当時、世に出ていた、ボサノヴァを主体としたブラジル音楽にはない、底抜けのノーテンキさ!
得も言われぬB級感!ユルく音程のズレたビミョウな抑揚のヴォーカル、そしてジャケ!(笑)

明らかにボサノヴァの影響下にありながら、あらゆる意味でボサノヴァとは一線を画すサウンドに、すっかり魅了されてしまいました。

極めつけは、「60年代、ブラジルの若者たちの真の支持を集めていたのは、ボサノヴァではなく、この「バランソ」だった!!」というオビの文句。


「バランソ!??」


まさに未知のブラジル音楽でした。


そして、それら音源は、2000年代になってからジワジワと頭角を表し始め、現在では確実に一つの大きな音楽の潮流として確固たる地位を築いた、
スキーマ、イルマといったレーベルに代表される、ボサのリズムを大々的にフィーチャーし、オルガン・サウンドで味付けされた、
イタリアン・ラウンジ・ミュージックへの強い影響力を認めないワケにはいきませんでした。
(実のトコロ、あのハードなリズムは、ボサというよりは、バランソに近い印象を受けます)


そういった流れの中で、昨年アルバムをリリースし、iTMSで配信される等話題になったスキーマの歌姫、
ホザリア・ヂ・ソウザが、そのアルバムの一曲目に、オルランのデビュー曲で、この、「A CHAVE DO SUCESSO」の一曲目に収録されている「ONDE ANDA MEU AMOR」をカヴァーしているという事実は、とても意味深い事のように感じます。


そう考えると、彼の音楽は、今、まさに聴かれるべき音楽と言えるのではないでしょうか?


とはいえ、そんな事を抜きにしても、このアルバムは無条件に聴くヒトをハッピーな気分にしてくれる、とても魅力的なアルバムである事は間違いありません^^

 
思えばこのアルバムのジャケット・イメージを、Shopのコンセプト・イメージとして何度使用してきた事か・・・(笑)


約一年前に、Shopのコンセプトを明確にする為に制作されたプレ・サイトにおいても、
KANIBASE.COM及び、KANIBASE.COMで扱うCDのシンボリックなイメージとして使用して来ました。
(最も、その時は、ホントにこのCDを仕入れる事が出来るかなんて、なんのメドも立ってなかったんですケドね(苦笑))


というワケで。このCDを実際に取り扱う事が出来たという事実は、KANIBASE.COMにとっては、とても感慨深い事なのでした。


彼の音楽が、一人でも多くの方々に愛聴される事を願いつつ・・・。


「ぷちコア・レヴュー」は、モンド雑貨Web shop KANIBASE.COMの商品を、より深く理解していただく為の、思い入れタップリなレヴューです^^